セビージャからグラナダへ向かう車窓から

せまい車内。
ひとりで窓側に座っていた。
停まる駅もなく、ゆっくりと行く2両編成。
ひたすら赤い大地と時折現れる小高い丘に
整然と並んだオレンジの樹々を眺めていた。
何時間経っただろう?
甘い香り。バニラのようなブランディのような・・
目の前を通り過ぎるひとの残り香とはあきらかに違う
もっととても強く主張しながら流れてくる香り。
はじめて葉巻が素敵だと感じた瞬間・・・
車輌の一番向こう側の親父が燻らせている太い葉巻から
ゆっくりと濃密な薄白青の煙が時間を掛けて、そして、
容赦なく車内を満たしていく。
単調なとても強い陽射しを反射する赤土と青い空の外の
明るさに慣れた眼には一層感じる車内のうす暗さ。
いつしか気付けば、僕はあの見知らぬスペインの親父が
創った空間にいた。
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